福岡県PTA連合会機関誌/令和元年7月号から「水で作る不思議スープ/NO.92」
 気温や湿度が急に上がる季節になると毎年暑さ対策のスープを作ります。昨年まではベーコンやたくさんの野菜をコンソメで煮込んだミネストローネを作っていましたが3日も食べ続けると飽きて見るのも嫌になるのです。

 そこで今年はたっぷりの野菜を水で煮込むポタージュをつくってみました。
 やはり私は天才(嘘です)。これが驚くほどおいしいのです。十日間毎日飲み続けていますが、ちっとも飽きません。これは大切な読者である皆さまにお伝えしない訳にはいきませんね。

 作り方はとてもシンプルです。準備する野菜はニンニク2粒、後はタマネギ、ジャガイモ、ニンジン、セロリ、トマト全て1つずつ、赤いパプリカがあれば加えても美味です。皮をむき一口大に切っておきます。ジャガイモだけは切った後、さっと水にくぐらせデンプンを洗い落としましょう。

 厚手のお鍋にオリーブ油(好みの油で)を大さじ1入れて野菜を全て加えて弱火でゆっくり炒めます。私はその後フタをしてごく弱い火で10分ほど蒸し煮にして野菜に汗をかかせます。甘くなるようにとのおまじないなのですが省略してもOKです。野菜がほぼ隠れるほどの水を注いでフタをし、一時間ほどコトコトと煮込みます。途中で塩を小さじ1とこしょう少しを加えて下さい。野菜がしっかり柔らかくなったことを確認して火を止め、鍋ごと水に浸けて粗熱をとります。後はミキサーにかけてクリーミーに仕上げます。とても美しいオレンジ色のスープのでき上がり。味を見て塩コショウで味を調えましょう。

 このスープの難点はただ一つミキサーが必要なことです。ミキサーを持っている人と一時的に友だちになるとか・・なにか知恵を絞って下さい。味が好みでしたらミキサーを奮発しても損はありません。夏バテをせずに夏を乗り切れるのですから。冷蔵庫で3日は保存もできます。

 熱々にパンを浸しながらいただくのが私は好き。冷たくいただく時はオリーブ油をちょっとだけたらすと良い香りです。牛乳や豆乳で伸ばしたりバターを落としたりと味の変化も楽しめます。タマネギやニンジンを増やしたり酸味が嫌いならトマトを外します。カボチャやカブを加えてもgood。

 アクの強いお野菜は合いませんし、緑の野菜が加わると不気味色に仕上がりますよ。

 お気づきの通りコンソメなどは一切使わず、野菜と水と塩とオリーブ油だけのシンプルなスープですが、なぜかとても深い味わいなのです。今年の夏はこの不思議なスープの力で皆様元気にお過ごし下さい。

福岡県PTA連合会機関誌/令和元年5月号から「水洗の音が怖いのです/NO.91」
 私は昭和22年の生まれです。けっこうお婆さんでしょ。小学校に入学する少し前の記憶です。家の前の道路で遊んでいました。それほど田舎でもないのに車と馬車が時々通る程度の、のどかさです。西洋人の親子らしい二人連れが近づいて来ました。私の下駄に興味を持ったようで身振り手振りで履かせとせがんでいます。その頃の写真を見ると、私はおかっぱ頭に花柄の着物と同じガラの綿入れチャンチャンコに赤いネルの足袋まるでお人形さんのよう。(妄想)

 私が産まれた敗戦後はGHQつまりアメリカの進駐軍が駐屯していました。北九州の小倉の我家の周辺のお屋敷はアメリカ人将校の住まいとして接収されていて、外国の人の姿を目にするのはしょっちゅうでした。(日本が連合軍に占領されていた期間は1945年〜1952年)

 気がつくと私は広い芝生のお屋敷の中にいました。わが家とは全く違っていて、テーブル、椅子、美しい額縁に入った絵。とりわけ不思議だったのがトイレ。ピカピカの白い物体、ドキドキしながら何とかよじ登って用を足しました。

 その後、私の小さな心臓が止まりそうな経験をします。言われた通りぶら下がっているひもを引っ張ったとたん、ゴォーっと凄まじい音とともに大量の水!理解しにくいかもしれませんね。皆さんのほとんどは産まれた時にはすでに水洗トイレだったのですから。しかしその頃の日本人は西洋式のトイレなんて見たこともなかったのです。私は水と一緒に暗い世界に流されるような気がして生きた心地がしません。そのまま逃げ出して家の玄関に飛び込みました。

 ホッとして固く握りしめていた小さなお手手(自分で言うか)を開くと白い美しい石。食べたかどうかの記憶がないのですが今思うと、あの楕円形のツルツルした石はきっと「ドラジェ」。結婚式などのお祝いで頂くアーモンドに砂糖の白い結晶で包んだ美しいお菓子です。

 あれから70年近くも経っているのに、トイレの水洗の音であのときのことを思い出しドキッとすることがあります。最近では一度の用足しでこんなに水を使っても良いのかしらと環境に対しての思いも頭をよぎります。

 今回はアルバムの整理をしていて幼い自分の姿から甦った話でした。今ではちっとも不愉快な出来事ではなくなっていますが、今の子ども達はどんな驚きを大人になって思い出すのでしょうか。

福岡県PTA連合会機関誌/平成31年3月号から「中国に行って来ました/NO.90」
 今年のお正月も中国で過ごしました。青島まで飛行機、そこから新幹線に乗り換えて2時間で山東省の_博(しはく)です。_博は春秋戦国時代に繁栄した斉の国の首都があったところで、陶磁器と絹織物の里でもあります。経済発展が目覚ましい中国、素晴らしく近代的な高級ホテルに泊まりました。・・と言いたいのですが、そこは貧乏性の私、ローカルの朝食付き一泊、3000円程度のホテルを選びました。

 ところが次の日の早朝に廊下で大きな破裂音! 飛び起きてドアを開けると数人の男性が隣の部屋のドアを大声で怒鳴りながら激しくノックしています。

 ドキドキしながら目を凝らすと一人の男性が晴れ着を着て花束を持っています??・・。友人の説明によると結婚式の日の儀式なのだそうです。花婿がドアの隙間からお金を差し込み、「金額が足りないから出て行けない」「ではもう帰るぞ」等々のやり取りの後、無事にドアが開き美しい花嫁さんが現れました。私は大急ぎで自分の部屋に戻りお土産に準備していた化粧品の色々を小さな袋に入れて花嫁さんに手渡しました。こぼれるような花の笑顔。星付きの高級ホテルだったら廊下で爆竹なんて有り得ない事でした。今年も始まりからラッキーです。

 今回の旅も同行した中国の友人の知り合いとの宴会の日々でした。「遠くから友人が・・では一緒に楽しもう」そんな雰囲気なのでこちらも遠慮しません。楽しい思いをするチャンスがあるなら逃さず楽しもう!この考え方が好きです。

 初対面どうしでも会話が途切れません。延々と会話が続くのは中国の方の話好きのたまもの。「美しい奥様とハンサムなご主人の末永い健康を願って乾杯」食事の合間にさまざまな理由を見つけては盃をあわせます。

 私は言いました。「日本にいらしたら負けないくらいのおもてなしをしますが、美しい奥様とかハンサムな・・なんて恥ずかしくて私には言えないと思うからごめんなさい」相手の方は何食わぬ顔で「習慣的に言っているだけなのでどうぞ気になさらないでください」席に笑い声が満ちました。その時にテーブルの上にあったのは果物のドリアンのチーズ焼き。この時の笑いとこの料理の濃厚なおいしさはずっと忘れることはないでしょう。

 食べ物だけでなく風習や表現の違いを知ることがこんなに楽しいなんて。子ども達が大人になるころはもっとさまざまな国との交流が深まるでしょう。そうなることを願いながら今年の仕事の一歩を踏み出しました。

福岡県PTA連合会機関誌/平成31年1月号から「簡単で温かい鍋物/NO.89」
 「1時間かかる料理を15分で作る裏技教えて下さい」とTV局からの仕事依頼。
 少し考えましたが思いつきません。今、特別な工夫・・つまり裏技を使っての簡単料理が流行のようですね。しかし普段の料理に特別なテクニックって必要でしょうか?15分もあれば普通に準備できる簡単な料理はあると思うのです。

 今回は私が繰り返し作る簡単な鍋物をお伝えしますね。

「豚肉とレタスのシャブシャブ」
だし6カップに薄口しょうゆを大さじ2、酒とみりんを大さじ1杯づつ、塩小さじ1で味つけして鍋に準備します。豚肉の薄切りをまずシャブシャブして続いてレタスを加えながらいただきます。

 準備するのはだしを合わせるのとレタスを大きく切ることだけです。豚肉は少し脂があって薄い方がおいしいです。レタスは色をきれいに上げるため、必ずだしが沸騰している中に入れましょう。好みで大人はポン酢で味を加えてください。残りの煮汁に、ご飯を入れて卵でとじてぜひおじやに!

「北九州風もつ鍋」
 モツで作る鍋ですが、牛や鶏、豚など好みの肉で良いのです。数種の肉を混ぜて使ってもおいしいです。お肉に適量の焼肉のタレを絡めておきます。

 すき焼き鍋にゴマ油を大さじ1程度入れてまず味を付けた肉を乗せます。その上にキャベツを3センチ角に切った物をこれでもかと山盛りに積み上げます。あればニラも5㌢の長さに切り上に乗せておきます。その上から好みの焼肉のタレをタラリ。中火の火にかけてしばらく煮ます。ぐつぐつ煮えて少しキャベツの高さが低くなったら軽く混ぜて、キャベツが好みの堅さになったらいただきます。

 焼肉のタレの量で味は調節して下さい。残っただしの中にチャンポン麺を煮ていただくのが私は好きです。

 忙しいときはこれだけで十分。たんぱく質とお野菜はしっかり取れます。
 「もつ鍋」の残っただしは次の日も使えますが「シャブシャブ」だしはアクが強くなっておいしくなくなるのが不思議です。

 キャベツはアブラナ科の植物でレタスはキク科の植物だからでしょうか。レタスは柔らかでいかにも優しそうな色合いなのに、なかなか根性があるお野菜なのだなーと気づきますよ。

 楽しくお喋りしながら食べ終わったら、皆でお片づけお願いしますね。お茶碗を流しに運んでもらえるだけで、とても大人は助かるのです。

福岡県PTA連合会機関誌/平成30年11月号から「台所では安全の習慣を/NO.88」
 FBS福岡放送のめんたいワイドでご一緒する福岡よしもとのマサルさん大好きです。ヘルメット姿での「足元よーし」は何度見ても笑ってしまいます。マサルさん、解体の仕事をしていたとおっしゃるのは裏が取れていませんが(笑)作業服での安全確認動作になぜか癒されるのです。

 指を指して安全を確認する動作は指差喚呼(ゆびさしかんこ)と言って旧国鉄によって始められたのだそうです。

 ちなみに鉄鋼業界は「おはようございます。こんにちわ。こんばんわ」全てのあいさつが「ご安全に」です。

 私たちも家族を送り出すときは「行ってらっしゃい」に添えて「気をつけてね」を忘れません。

 私も料理教室の日は朝から緊張しています。水、火、刃物を使って多勢の方達と作業をするのですから。

 料理教室の日はけがなどをしませんようにと心で祈りながら出かけます。スタッフにも同じ気持ちでいてほしいので言葉で細かく安全を伝えます。

床に水がこぼれていたり、野菜クズが落ちていたらすぐに拭くなり拾うなりしましょう。
  包丁は生徒さんの方に刃を向けずに置きましょう。
  揚げ物のときは必ずスタッフが横についていてね。
  熱いお鍋などを移動するときは「熱いもの通ります」と大きな声をかけて。
  オーブンを使った後はすぐに熱い天板に水をかけ冷します(天板の裏側に水道水をかけるとあっという間に冷えます)。
  電磁調理器など使い終わっても熱いので特に注意を促すか、スイッチを切って鍋などを置いておきましょう。
  配膳の時にも汁物やお茶などは「熱いです」と伝えて。

 家庭でも同じです。言葉で伝えあって安全を確認しながら楽しく料理をしていただきたいと思います。子どもたちに安全の習慣づけができることはとても大切です。

 台所では同じところに道具がしまわれている。ガス台や電磁調理器の回りがきれいに片付いている。足元に物が出しっぱなしになっていない。安全のためには整理整頓も大切です。片付け下手な私にも耳が痛いことなのですが・・

 親の「気をつけて!」をうっとうしがる年齢の子ども達もいそうですが、言葉は「祈り」でもあるのですからやめられませんね。

福岡県PTA連合会機関誌/平成30年9月号から「植物だって戦っている/NO.87」
 自分や大切な人の命が危険にさらされたらどうしますか。考えただけでも怖いです。だからこそ人間は身を守るための道具やシステムを持っているのです。それどころか戦うための恐ろしい武器まで発明してしまいました。他の生き物たちもそれぞれに命を守り種を残すための手段を本能として持っています。

 では植物はどうでしょう。静かに定まった場所から根を張りツルを伸ばして葉をそよがせたり、美しい花を咲かせたりしているだけでしょうか。そうではないことを皆さんもご存知ですね。昆虫やほ乳類、草食恐竜からも身を守るために、とげや堅い殻や厚い表皮、においや、苦み、酸味、辛み、エグミなどを持っているのです。

 現在人間が使う毒物のほとんどは植物由来。その中から病気を治す物質も数多く取り出されています。

 少し怖くなりましたか?でも大丈夫です。人間は長い経験の中から毒になる物、安全な物をより分けてきました。品種改良を重ねておいしく安全な野菜に育てました。この夏も暑さに負けないようたくさんの野菜を料理しましょう。

 さて安心させておいてここからが本題です。安全とは言いながら植物もなかなかしぶといのです。ジャガイモの芽や緑色になった部分には毒性があるので、えぐりとったり厚く皮をむいたりして使いましょう。生シイタケもそのまま食べるのはダメです。皮膚炎になることがあります。椎茸などのキノコは基本的にちゃんと火を通しましょう。マッシュルームは生でもOKですがあまり美味しくありませんね。バーベキューのシーズンになるとちゃんと焼けてない椎茸を食べて来院する方が増えると皮膚科の先生がおっしゃいます。

 それからリンゴ・サクランボ・モモ・アンズなどの種は食べてはいけません。カシューナッツやアーモンドなどのナッツも生ではお勧めしません。モロヘイヤの実も毒を含みます。葉はおいしくて身体に良いのでうっかりしがちですが気をつけましょう。野菜のアクや渋みも身体に良いとおっしゃる方もいますが、子どもさんにはやはりアク抜きをきちんとして食べさせたいと私は思っています。

 50年料理家をしてそれなりに植物について勉強してきましたが、植物はなかなか一筋縄ではいきません。皆さんもネットや図書館で調べてみてくださいね。安全や健康のためにはやはり知識は必要です。

 夫が「パクチーあったよ」と好物を買って来てくれました。手に取るとそれは茎が伸びたイタリアンパセリでした。